現在NETFLIXの『リラックマとカオルさん』が脱力感とシュールさで人気ですが、あの映像はCGではなくて、ストップモーションアニメ。
ストップモーションアニメとは、静止している物体を一コマごとに少しずつ動かしながら撮影することで、まるで物体が動いているように見えるという技法です。古くから使われているこの技法ですが、近年でもたくさんのヒット作にこの技法が使われていますよ。
今回は、そんな注目のストップモーションアニメのおすすめ作品と、特殊な技法で撮られたアニメの10選を紹介させていただきます。
目次
- 1 おすすめストップモーションアニメ | リラックマとカオルさん 2019年
- 2 おすすめストップモーションアニメ | 犬ヶ島 2018年
- 3 おすすめストップモーションアニメ | コララインとボタンの魔女 3D 2009年
- 4 おすすめストップモーションアニメ | 僕の名前はズッキーニ 2018年
- 5 おすすめストップモーションアニメ | KUBO/クボ 二本の弦の秘密 2017年
- 6 おすすめストップモーションアニメ | ナイトメアー・ビフォア・クリスマス 1993年
- 7 おすすめストップモーションアニメ | フランケンウィニー 2012年
- 8 特殊な技法のアニメ | 大人のためのグリム童話 手をなくした少女 2018年
- 9 特殊な技法のアニメ | 夜明け告げるルーのうた 2017年
- 10 おわりに
おすすめストップモーションアニメ | リラックマとカオルさん 2019年
OLのカオルさんとともに暮らす着ぐるみのリラックマと小さなクマのコリラックマ。カオルさんのペットのキイロイトリと一緒に4人のほのぼのした生活が描かれます。
OLのカオルさんの日常はリアルで生活感あふれるものです。忙しい日常の中でリラックマたちとふれあうことカオルさんは少し立ち止まる余裕を取り戻していきます。現代社会に疲れたみなさん、この作品にぜひ癒されて見てはいかがでしょうか。
リラックマは着ぐるみですが、コリラックマやキイロイトリは本物という設定のようです。このシュールな世界観も魅力の一つですね。
おすすめストップモーションアニメ | 犬ヶ島 2018年
舞台は20年後の日本。ドッグ病が流行していたウニ県メガ崎市では、人間への感染を防ぐため全ての犬を「犬ヶ島」へと追放してしまう。
ウェス・アンダーソン監督の独特の美的センスが光る作品です。日本を海外から見つめると、こんな風に表現できるんだという面白さがあります。人形を使ったストップモーションアニメで、ごちゃっとした背景や犬たちの毛並みなどにもこだわりを感じます。
実はこの作品はかなり黒澤明監督の作品に影響を受けているようです。黒澤明ファンが見ても楽しめると思いますのでぜひ!(≫ 『犬ヶ島』のレビューはこちら)
アカデミー賞長編アニメーション賞・作曲賞の2部門にノミネート、ゴールデングローブ賞も同2部門にノミネート、第68回ベルリン国際映画祭銀熊賞受賞、他
ファンタスティック Mr.FOX 2019
ウェス・アンダーソン監督のストップモーションアニメ作品では、『ファンタスティック Mr.FOX』もお見逃しなく!
おすすめストップモーションアニメ | コララインとボタンの魔女 3D 2009年
両親と新しい街に引っ越してきたコラライン。しかし両親は多忙で全然自分に構ってくれない。そんなある日壁に隠された小さなドアを見つける。ドアを開けるとそこは優しい両親がいる、どんな願いも叶う世界だった。
不思議で少し不気味な世界観がストップモーションアニメとぴったりマッチしています。動きもCGのように滑らかではなく、髪の揺れ方などぬるっとしていて重みがあります。照明が暗いシーンでもよりしっかりキャラクターの存在感が出てます。
一見子供向けですがちょっとホラーな要素もありますので、どちらかというと大人向けアニメかもしれません!
アカデミー賞美術賞受賞、ゴールデングローブ賞ノミネート、他
おすすめストップモーションアニメ | 僕の名前はズッキーニ 2018年
アルコール依存症の母親と二人で暮らすズッキーニ。ある日ズッキーニの過失によって母親が死んでしまう。孤児院にあずけられたズッキーニは事情を抱えた同世代の子供たちと交流する中で成長していく。
何か派手な演出がされている訳ではありませんが、ストップモーションアニメ特有の温かみのある動きが登場人物たちの繊細な心理状態にうまくマッチしている作品です。一つ一つの動きが丁寧に作られていて、本当にキャラクターに生命感があります。
吹き替え版は銀杏BOYZの峯田和伸、麻生久美子などが担当しており、これが結構ハマってるのでおすすめです!
アカデミー賞長編アニメーション賞ノミネート、アヌシー国際アニメーション映画祭観客賞・クリスタル賞受賞、他
おすすめストップモーションアニメ | KUBO/クボ 二本の弦の秘密 2017年
舞台は日本。病弱な母と暮らすクボは三味線を奏でると折り紙を操ることができる力を持っていた。かつて祖父に父親と自らの左目を奪われたクボだったが闇の刺客に母の命まで奪われてしまい、復讐を誓ったのだった。
『コララインとボタンの魔女』を手がけた制作会社LAIKAの作品です。コララインと比べると本当にストップモーションアニメなの?というくらい滑らかな動きになっています。折り紙がスルスルとおられていくシーンなど迫力満点なアクションシーンは必見です。
この作品は背景にCGを取り入れている部分もあるようです。先進技術とストップモーションアニメを組み合わせることでより壮大な世界観をつくることができたのですね。
アカデミー賞長編アニメーション賞ノミネート、ゴールデングローブ賞同部門ノミネート、他
おすすめストップモーションアニメ | ナイトメアー・ビフォア・クリスマス 1993年
人を驚かせるのが大好きなハロウィン・タウン」の住人達。ハロウィン当日、街は大盛り上がりの中、王様であるジャック・スケリントンは、毎年同じハロウィンの日を退屈に感じていた。
ストップモーションアニメといえばこちらを思い浮かべる人も多いのではないでしょうか。ディズニーお得意のミュージカル作品です。ブラックな世界観とファンタジーな要素がうまくミックスされていて、軽快な音楽に合わせてキャラクターたちが滑らかに動いていく非常に楽しい作品です。
本編一分間の撮影のためにかかった制作時間はなんと1週間と言われています。恐ろしいほど時間のかかっている作品なのですね…
アカデミー賞視覚効果賞ノミネート、ゴールデングローブ賞最優秀作曲賞ノミネート、他
おすすめストップモーションアニメ | フランケンウィニー 2012年
科学が大好きなビクターは、友達がおらずいつも愛犬のスパーキーと遊んでいた。ある日突然の事故でスパーキーは命を落としてしまう。ビクターは、危険な科学実験を行いスパーキーを生き返らせることに成功する。
ティム・バートン監督が1984年に制作した短編実写作品のリメイク作品です。全編モノクロで撮影されており、とても陰影の美しい作品です。監督は涙の表現や火の表現など、あえて古典的なストップモーションでしかできない技法を使ったということです。
フランケンシュタインのように「動かないものに命を吹き込む」というストーリーだったからこそ、監督はまさに「動かないものに命を吹き込む」ストップモーションアニメという技法で制作することにこだわったようです。
アカデミー賞長編アニメーション賞ノミネート、ゴールデングローブ賞最優秀長編アニメーション映画賞ノミネート、他
つづいては、ストップモーションではないけど特殊な技法を用いて作られた長編アニメを紹介します。こちらもお見逃しなく!
特殊な技法のアニメ | 大人のためのグリム童話 手をなくした少女 2018年
グリム童話の「手なしむすめ」が原作。貧しい一家の娘は、父親と悪魔との取引において両手を奪われてしまう。手を失った娘は家を去り、やがて一国の王子に求愛されるが悪魔はその仲を引き裂こうとする。
監督が全て一人で作画し、自ら生み出した「クリプトキノグラフィー」という技法が使われています。筆でサラサラとかいた絵を何層か重ねてあるので、静止画だと何が書いてあるのかわかりづらい部分もありますが、アニメーションしてみると見事に一つ一つのモチーフが連動しています。
ほとんどたった一人で作り上げたにも関わらず、わずか一年ほどで完成した作品だそうです。監督は本当に天才的なアニメーターと言えるでしょう。
東京アニメアワード長編アニメーショングランプリ受賞、アヌシー国際アニメーション映画祭審査員賞・最優秀フランス作品賞受賞
特殊な技法のアニメ | 夜明け告げるルーのうた 2017年
両親が離婚し、東京から父の実家がある港町に引っ越してきた中学生のカイ。一人で音楽を作り、ネットにアップロードすることが趣味のカイだったが、ある日人魚のルーと出会ったことで次第に生活に変化が訪れる。
一見普通の2Dアニメーションですが、実は全編AdobeのFlashというソフトで制作されています。一枚一枚絵を描いていくのではなく、コマとコマの間をコンピュータが自動で動きを補完していくという技法です。湯浅政明監督の独特のパース感も相まって、なんとも不思議な動きになっています。
キャラクター原案は漫画家のねむようこがつとめています。愛らしいキャラクターにも注目してみてください!
アヌシー国際アニメーション映画祭長編部門クリスタル賞受賞、他
おわりに
というわけで、今回はNETFLIX『リラックマとカオルさん』で注目が集まるストップモーションアニメを紹介しました。
近年ではCGアニメーションがどんどん発達していっていますが、昔ながらのストップモーションという技法はこれからもきっと滅びることなく続いていくことでしょう。
普段アニメーション作品をみない方でも、美しいストップモーションの世界観に圧倒されること間違いなしですので、ぜひ見てみてください。
画像出典:IMDb “Coraline”
浜村満果
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