マット・デイモンといえば、ハリウッド俳優として映画に欠かせない存在ですが、実は彼は最も〈普通〉な〈良い人〉という周囲の評価が多数。華やかなイメージのハリウッドにそぐわない〈普通〉の雰囲気が、演技の中では瞬時に引き込まれてしまう魅力になっています。
並々ならぬプロ根性で作品に向き合う姿勢も有名です。ある作品では、100日で18㎏も減量し、その後数年間体調が悪かったとか・・・。体型や髪型の変化だけではなく、映画によって全く別の人間に見えるのが不思議です。
今回はそんなマット・デイモンの〈普通〉ではない演技を存分に味わえる選りすぐりの映画をご紹介します。
目次
マット・デイモン出演映画おすすめ | グッド・ウィル・ハンティング
ガス・ヴァン・サント
キャスト
ウィル・ハンティング:マット・デイモン
ショーン・マグワイア:ロビー・ウィリアムズ
スカイラー:ミニー・ドライヴァー
心の傷を乗り越えて、人生を再生させていく2人の男性の物語
あらすじ:
主人公のウィル・ハンティングは、問題を起こしては警察に補導されるという素行の悪い青年ですが、あるとき数学教授のランボーから才能を見出されます。
何とか彼を更生させようと、様々な心理学者に彼を診てもらいますがうまくいきません。最終的にランボーは、自分とは不仲であるが実力のある、同級生の心理学講師ショーン・マグワイアに、ウィルを紹介します。
ウィルとショーンは互いに過去に深く傷ついた経験を持ち、いつしか打ち解けあっていきます。2人が未来に向かって再生していく物語です。
おすすめポイント:
この作品が、マット・デイモンを世に知らしめたといっても過言ではないでしょう。マット・デイモンは当時まだ無名の俳優で、なんとハーバード大学に在学していました。
授業のために執筆した戯曲が、この映画『グッド・ウィル・ハンティング』のベースとなっているのです。この戯曲を親友のベン・アフレックに見せたことから、映画の話が持ち上がるのですが、ベン・アフレックは映画『ゴーン・ガール』で主人公ニックを演じていた方ですね。この二人が親友とは驚きです。まだ10歳と8歳の時の出会いだったとか。
彼らはこの作品で2人で脚本を務め、見事アカデミー賞で脚本賞、そしてマット・デイモンは助演男優賞も受賞するという快挙を達成しました。
年代の違う二人の男性が、抱えきれない傷を心に負いながらも互いに打ち解けていき、ウィルは人間として大きく成長していきます。時がたっても色あせない不朽の名作です。
マット・デイモン出演映画おすすめ | ボーンシリーズ
ダグ・リーマン他
キャスト
ジェイソン・ボーン:マット・デイモン
ニッキー・パーソルズ:ジュリア・スタイルズ
目が覚めると…俺は誰だ!?自分を探す旅に出るボーンの物語
あらすじ:
主人公ジェイソン・ボーンは、負傷して海に浮いていたところを発見されたのですが、すべての記憶を失っていました。皮下にマイクロチップが埋められており、チップが指し示すままに進むと貸金庫にたどり着きます。そこには自分の顔写真が入った偽パスポートや大金、拳銃があったのです。ボーンは自分のルーツを探るべく奔走するのですが、どうやら指名手配されており、次々と追手がやってきます。
一体自分は何者なのか…ボーンの葛藤と逃走、そして自分の正体を追求する日々が始まります。
おすすめポイント:
ボーンシリーズは、マットデイモンが主演しているのが4作品、彼の出演がないスピンオフ作品が1作品と、5作品が世に出ています。
リアルな戦闘シーンは言うまでもなく見どころですが、作品を重ねるごとに人気や受賞が増えるという稀なシリーズとなっています(事実上3作目が物語の終わりとも言えますので、それ以降は微妙な評価が多いですが)。
記憶喪失の主人公がなぜか闘いに巻き込まれる…という設定は映画やゲームでありがちですが、この作品では謎解きもありながら激しいアクションシーンもあり、疾走感のあるミステリーといった仕上がりになっています。とてつもなく強いマット・デイモンを観ることができます。
マット・デイモン出演映画おすすめ | ディパーテッド
マーティン・スコセッシ
キャスト
ビリー・コスティガン:レオナルド・ディカプリオ
コリン・サリバン:マット・デイモン
フランク・コステロ:ジャック・ニコルソン
偽りの自分を演じスパイを行う二人の男、人生を交錯させる彼らの行き着く先は…
あらすじ:
ボストンのある地域で蔓延する犯罪組織の撲滅を図ろうと、警察では新人警官のビリー・コスティガンを潜入捜査官として組織に送り込みます。
一方、犯罪組織の方でもスパイを用意しており、コリン・サリバンが警察官として送り込まれていたので、捜査の情報は筒抜けとなっていました。互いに自分の正体がばれないように潜伏し、情報収集を行うビリーとコリンでしたが、警察も組織も、内部にスパイがいることに気が付いていきます。
おすすめポイント:
香港の映画「インファイナル・アフェア」のリメイク作品となっており、日本でも「ダブルフェイス」という作品としてリメイクされています。キャストが豪華ですよね。他に、マーク・ウォールバーグという俳優も出演しており、ディカプリオとマット・デイモンとウォールが似ていてごちゃごちゃする、なんていう感想も聞かれました。
お互いに素性がばれそうになるため、終始ハラハラしますが、飽きずに一気に観ることができます。始めはスパイとして送り込まれるビリーとコリンですが、自分のアイデンティティを失いながら生きることは非常につらいことですよね。とことん密告し続ける忠実な「ネズミ(組織からのスパイ)」を、マット・デイモンが体当たりで演じています。
マット・デイモン出演映画おすすめ | ヒア アフター
クリント・イーストウッド
キャスト
ジョージ・ロネガン:マット・デイモン
マリー・ルレ:セシル・ドゥ・フランス
マーカス/ジェイソン:フランキー・マクラレン/ジョージ・マクラレン
生きることと死ぬことのはざまで立ち止まる、ミステリアス映画
あらすじ:
ジョージは霊能力者としての能力があり、以前はそれを生業としていましたが、いつしかその力を疎ましく思うようになり、別の仕事をして静かに生きていました。
一方、ジャーナリストのマリーは、恋人と共に訪れたリゾート地で津波に巻き込まれ臨死体験をします。なんとか一命をとりとめますが、その後死を強く意識するようになってしまい、現実世界でのバランスを失っていきます。
別の地では、少年マーカスが双子の兄を事故で亡くし、悲しみに暮れていました。母は薬物中毒で、里親に引き取られることになったマーカスは、その後も兄との再会だけを強く望み、霊能力者を探していました。
ある時、この3人は運命的に出会い、死という未知で深い世界を共に見つめることになるのでした。
おすすめポイント:
マット・デイモン、今度は霊能力者の役です。しかし、胡散臭い霊能力者ではなく、しっかりと実力を兼ね備えた本物で、少し陰のある人間を演じています。
ちょうど日本で公開したのが2011年の2月中旬で、私は公開直後に劇場に観に行ったのですが、その約1か月後に東北での震災、津波がありましたので、公開は中止となってしまいました。津波というものが人の命をあっという間に死に追いやってしまうものだということは、映画を観ずとも私たち日本人の心に深く刻まれていることと思います。
この作品は、いつかやってくる自分の死や、大切な人の死、とめどなく訪れる喪失体験とどう向き合っていくのかが描かれた作品です。死を強く意識するからこそ見えてくる生があるのだということを痛感させられます。
マット・デイモン出演映画おすすめ | エリジウム
・ニール・ブロムカンプ
出演
・マックス:マット・デイモン
・デラコート:ジョディ・フォスター
・フレイ:アリシー・ブラガ
・クルーガー:シャールト・コプリー
チンピラのマット・デイモンが下剋上するSF映画
あらすじ:
時は2154年、地球は環境汚染により人間の住みやすい場所ではなくなっていました。
一部の富裕層たちは、宇宙にスペースコロニー『エリジウム』を作り、そこに移住して何不自由ない生活を送っています。富裕層の生活を支えているのは、下界とも言える地球で働く人々でした。
主人公マックスは、エリジウムの住人を守り地球の人々を監視するロボットである「ドロイド」が作られている工場で働いていました。ある日、工場での事故でマックスは致死量の放射線を浴びてしまいます。5日といわれた余命を何としても延ばすべく、エリジウムに向かう計画を立て始めるのですが・・・。(≫ 『エリジウム』のレビューはこちら)
おすすめポイント:
マット・デイモン、スキンヘッドで工場で働いている役ですが、なんとも素行の悪そうな見た目…このスキンヘッドは自前だそうで、私は作った頭なのかと思い込んでいました。日本では、たとえ役でもそうそうスキンヘッドにはしませんよね。やはり海外の役者さんはそういた部分も入れ込み方が違いますね。私生活では、坊主頭が娘さんたちに好評だったそうです。
ちょっと突っ込みどころの多いSF映画ですが、世界における貧富の差についてのメッセージも込められている奥深い作品です。
マット・デイモン出演映画おすすめ | インターステラー
クリストファー・ノーラン
キャスト
ジョセフ・クーパー(マシュー・マコノヒー )
マーフィー・クーパー(幼少期:マッケンジー・フォイ)
アメリア・ブランド(アン・ハサウェイ)
ヒュー・マン(マット・デイモン)
科学に愛は勝つのか、時を超えて繋がる人々の物語
あらすじ:
異常気象によって雨が降らず、砂埃が舞う近未来の地球が舞台です。主人公のクーパーは元パイロットでありながら、現在はこうした地球の現状もあり、やむを得ず実家で農業を営んでいました。妻に先立たれ、娘のマーフィー(マーフ)と息子、クーパーの父親と4人で暮らしていました。
ある日、自宅で起こる不可解な現象が、実は重力が関連した誰かからのメッセージなのではないかと気が付いたクーパーは、それを解読し、指し示された地図上の場所へマーフと共に向かいます。たどり着いた場所は、とっくに解体されたはずのNASAの研究所でした。クーパーはそこで、地球を救うための協力を依頼され、宇宙へと旅立つことになります。(≫ 『インターステラー』のレビューはこちら)
おすすめポイント:
この作品では、マット・デイモンは主人公ではありません。一体どこで登場するのかといえば、それはネタバレに近づいてしまいますので伏せますが、次に紹介する映画『オデッセイ』を彷彿とさせる役どころです。演じる人間性は全く異なりますが…。そういった演技の違いも楽しむことができる作品となっています。
感動のSF超大作ですが、舞台となっているのが荒廃していく地球ということで、環境問題など多くのテーマも盛り込まれていますので、そちらも注目です。
マット・デイモン出演映画おすすめ | オデッセイ
リドリー・スコット
キャスト
マーク・ワトニー:マット・デイモン
メリッサ・ルイス:ジェシカ・チャスティン
テディ・サンダース:ジェフ・ダニエルズ
ミッチ・ヘンダーソン:ショーン・ビーン
火星に取り残された!おいもをウンチで育てる宇宙飛行士
あらすじ:
宇宙飛行士のマーク・ワトニーは、他のクルー5名とともに火星での探索任務に就いていました。ある日の任務中、天候によりクルー達は火星からの退去を迫られます。皆がロケットに避難しますが、強風で飛んできたアンテナがワトニーを直撃し、彼だけが行方不明に。
この環境の中でワトニーが生き延びている可能性は限りなく低いだろうと判断し、また火星から飛び立つまでの時間的な余裕もなかったため、指揮官のルイス船長をはじめとしたクルー達は泣く泣く火星をあとにします。
しかしその後、嵐が去った火星では、なんとワトニーは生きており、一人火星に取り残された状況を把握するのでした。(≫ 『オデッセイ』のレビューはこちら)
おすすめポイント:
マット・デイモン、今度は火星に一人取り残されてしまいます。しかし宇宙飛行士でありながら植物学者という最強のシチュエーション。なんとか生き延びそうな予感がしつつも、初めての火星暮らしに失敗と成功を繰り返していきます。
怒りが爆発してしまうシーンや、手放しで喜んだりを一人で繰り返すマットデイモンの姿には母性をくすぐられます。不憫でならないのと同時に愛らしく、生きようとする強い意志に勇気をもらえる作品です。
劇中で、かなり痩せ細った姿で登場するシーンがあるのですが、マット・デイモンまた役のために痩せたのか…と思っていたら、これはCGだったそうです。冒頭でも記載した通り、無理なダイエットで体を壊した経験もあるマット・デイモン。本当にプロ根性には脱帽ですね。火星に残されてしまった設定ですので、一人で喋るシーンも多く、かなりマット・デイモンの出演時間が長いので、ファンにはたまりませんね。色々な表情のマット・デイモンが堪能できます。
おわりに
いかがでしたか?マット・デイモンは俳優としてだけではなく、脚本家としても実力のある方なんですね。ハーバード大学は、役者として成功し始めた映画『グッド・ウィル・ハンティング』のあたりで退学してしまっているとのことですが、彼の聡明さは演技にも深みを与えているような気がします。今後も様々な映画で活躍していただきたいですね!
画像出典:IMDb “Matt Damon”
HAYA
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