今回は、「アメリカ流れ者」で町山智浩さんが2015年2月に紹介された映画『フォックスキャッチャー』の感想です。
オリンピックのレスリングに関わる実際に起きた殺人事件
あらすじを書くと、
濃密な人間関係が描かれます。
はじめに感想を言っておくと、最高傑作だと思います。
2014年のカンヌ映画祭パルムドール作品なので、言うまでもないんですが、それにしてもすごい映画でしたよ。
これは実際に起きた殺人事件がもとになっています。なので、調べれば結末はわかってしまうのですが。
でも、あまり詳しく知らない方がいいと思います。
私はなんとなく知ってましたが、誰が、誰を殺すのかわかっていませんでした。なので、驚きました。
人間の真実の映画
事実を描いてるので、分かりやすいストーリーは説明しにくいですが、そうではないところで魅せられます。
それは、人間の真実というもの。
・大富豪のジョン・デュポン。しかし、母親からは認められていないのをうすうす感じている。なんとか認められたい。
・ロサンゼルスオリンピック金メダリストのマーク・シュルツ。しかし、レスリング一筋で金メダルを取ったのんも関わらず注目されない。コミュニケーションもうまくなく、前に出るのは兄で、自身の実力もコーチである兄の力だとわかってもいる。
彼ら二人は似たもの同士です。だからこそ、協力してチーム「フォックスキャッチャー」を立ち上げるときは、希望すら感じるのですが。
でも、暗さが付きまとっているんですね・・・。
・レスリングコーチのデイブ・シュルツ。彼は二人と違い、全体を見れる人物。明るくコミュニケーションもうまく、チームから人望も集めます。
この3人の関係を、丁寧に、丁寧に描いていくんですね。
これが、殺人事件にまでいくんですが、孤独で内向な人間だったら、それはすごく分かるんです。なぜそれが起きたかわかってしまうんです。だから、つらい・・・。
ベネット・ミラー監督
この『フォックスキャッチャー』で初めてベネット・ミラー監督の作品を見ました。
劇場作品としては、『カポーティ』、『マネーボール』しか撮ってないんですね。でも、どちらも評価が高いです。ほかにドキュメンタリーを撮っているし、映画作品も事実にもとづいたものばかりですね。
ドキュメンタリータッチのうまい監督のようです。それにしても、ここまで人の心がわかるのかというほどの、すごい人物像をつくりあげています。
町山さんの話では、監督がこの『フォックスキャッチャー』のことを夢で見たからとか。たしかに、そうでもなければ、これを映画化する理由ってない気がします。
でも、人間の光と影を描いたたまらない映画です。ぜひ、見てほしいです!!
Cody
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