【音楽無料あり】『ジャニス:リトル・ガール・ブルー』の感想。世界的女性シンガーの孤独で美しい生涯に迫る。

今回は、「アメリカ流れ者」で町山智浩さんが2016年8月16日に紹介されていた『ジャニス:リトル・ガール・ブルー』の感想です。

他界して50年ほど経とうとしている今でもファンを増やし続けているという世界的女性シンガーであるジャニス・ジョプリンの生涯についてのドキュメンタリーです。早速どんな作品なのかご紹介していきたいと思います。

 

『ジャニス:リトル・ガール・ブルー』あらすじ・出演者情報

あらすじ

27歳でその命を断った天才的シンガーであるジャニス・ジョプリン。
芸術や音楽などの文化が急速に広まった1960年代、彼女の自由で奔放な音楽人生はマドンナやシンディ・ローパーなどの女性シンガーにも多大な影響を与えました。
荒々しく力強い歌声が特徴的な彼女ですが、本作ではそんな彼女が表立っては見せなった素顔に迫ります。

登場人物

ナレーション - キャット・パワー
出演者 - ビッグ・ブラザー&ホールディング・カンパニー、他

ナレーションを務めるのはキャット・パワーことショーン・マーシャル。女性シンガーソングライターとして異彩を放知、音楽界では一目置かれる存在です。
また当時のジャニスについて語るのは彼女の所属していたバンド、ビッグ・ブラザー&ホールディング・カンパニーのメンバーたちです。

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町山さん解説。27才で亡くなった天才、音楽活動期間はわずか4年

ジャニス・ジョプリンは1970年10月4日、ヘロインの過剰摂取により27才で亡くなりました。

カート・コバーンやジミ・ヘンドリックスなど、なぜか27才で亡くなったポピュラーミュージシャンは多くいるようで、彼女も彼ら同様「27クラブ」の一員として知られています。

びっくりしたのですが、こんなにも世界に影響を与えたジャニス・ジョプリンが音楽活動をしていたのはわずか4年間なんだそうです。

洋楽を全然知らない私でもジャニス・ジョプリンの名前くらいは聞いたことがありました。日本にも老若男女問わずファンが大勢いて世界的にも著名なアーティストですが、たった4年でなぜそんな偉業を成し遂げることができたのでしょうか。

以降ネタバレ含みます!お気をつけください。

ジャニス・ジョプリンが子供のころ受けた容姿に関するいじめ、黒人音楽への共感

黒人女性のブルースに共感していく

ジャニス・ジョプリンは幼少の頃、壮絶ないじめを受けていました。太っていて顔がニキビだらけだった彼女はその容姿をからかわれ、自分の居場所を失っていました。

そして彼女が生まれたテキサスの小さな町では当時徹底的な白人至上主義が遂行されており、黒人排除の傾向が強まっていました。黒人女性たちは男性より一層差別されており、ジャニスは黒人女性のそのどん底の思いを綴ったブルースに共感していくようになります。

その後差別のひどいテキサスを離れ、サンフランシスコに移住し音楽活動を始めます。

有名になった後もいじめはつづく

この子供の頃いじめられていたというシーンが本当に辛いのですが、さらに有名になった後に地元のテレビ局が主催した高校の同窓会の部分はさらに酷かったです…。

地元の同級生たちはジャニスのことを無視しているし、空気の読めないテレビ局はさらに傷口をえぐるように彼女に当時のことを根掘り葉掘り聞いたりしてくるんです。

この時の彼女の辛さを隠そうと無理に笑っているような表情が忘れられません。これぞマスゴミという感じです…。

普段は明るく振舞っている彼女ですが、やはり音楽を始めて有名になったからと言って昔の傷が癒えたわけではないようです。
しかし、そんな心に傷を負った彼女だからこそ、他人の痛みを分かち合い人々に希望を与えることができたのだと思います。

ジャニス・ジョプリンは不器用だけど愛にあふれた女性

セックスとドラッグに溺れ自己中心的な生活を送ってきたように言われる彼女ですが、本当にそうでしょうか。

本作の中で彼女に恋人ができた時、「ジャニスも相手もどちらも自分本位な性格だ。長続きしないよ」と言われているシーンがありました。

しかし私は彼女は自分本位に考えていたわけではなく、本気になってしまうことを恐れていたのではないかと思います。

家庭を持つことを望んでいた彼女ですが、恋人になった男たちの多くは妻子もちだったとのこと。

そんな風に軽く扱われ、さらに学生時代からずっと存在している容姿のコンプレックスもあり、私なんて…という気持ちになっていたのではないでしょうか。

愛されることを求めていた彼女ですがそれは叶わないと知り、これ以上傷つかないための行動だったのかもしれません。

そんな彼女が休暇中に出会った男性との恋は、互いを尊重し合っているような素晴らしいものでした。しかしその男性と再会する前にヘロインで死んでしまうとは…どこまで残酷な運命なんですか…。

ジャニス・ジョプリンの果てしない孤独が与えてしまった薬物による死

有名になって爆発的な人気を得たあとも、ジャニスが孤独から解放されることはありませんでした。

彼女がアルコールにタバコ、そしてヘロインや覚醒剤に依存した生活を送っていたのは単にロック歌手だったからでもヒッピーだったからでもありません。生涯を通じて圧倒的に孤独だったからです。

薬物依存もアルコールやタバコと同じように、日頃のストレスや人間関係のもつれ、過去のトラウマや孤独感などが原因となり得ます。

彼女は自殺ではなかったとされていますが、致死量に到るまでの大量のヘロインを摂取しないと己を正常に保つことができなかったのかもしれません。

薬物に依存してしまう人々を人間ではないかのように扱う現代社会ですが、なぜ依存してしまうのかということについてなかなか考えられていないのが現実です。

薬物による悲しい死を防ぐためにも、薬物依存者を即刻切り捨てるのではなく社会全体が依存者に寄り添って行く必要があると感じます。

ジャニス・ジョプリン、自分を犠牲にしながら世界に愛を届けた4年間

ジャニスの歌う曲はカバー曲が多かったようですが、単に原曲の通り歌うのではなく彼女が歌うことによって曲の意味合いが全く違うものになっています。

歌詞を変えているというわけではないようです。彼女の歌い方やパフォーマンスによって曲の与える印象をガラッと変化させているのです。

中でも「Piece Of My Heart」という曲は、元々は一人の女性が悪い男性に散々尽くしてもう私からあげるものはないよ!というヤケクソな気持ちを込めた曲でした。

しかしジャニスは皮肉を取り払い、相手を男性ではなく世界の人々というように変換し、「私の心をちぎって持っていって!あなたにあげるわ!」というような世界に愛を配り歩くような曲に歌い変えました。

ドイツでのライブでこの曲を歌っている映像がありましたが、観客一人一人をステージにあげ、一人一人に対してこの歌を捧げていました。

彼女の私生活は決して全てうまくっていたわけではありませんが、それでも自分の心をちぎってちぎって人々に授け、希望を与えたのです。
人々に対する彼女の惜しみない愛を感じることのできるライブ映像でした。

 

『ジャニス:リトル・ガール・ブルー』痛みを知り、優しい気持ちになれる作品

本作を見ればジャニス・ジョプリンを知らない人でもその力強いパフォーマンス、荒々しい歌声、あどけなく笑う表情、など全てが愛おしく感じてしまうこと間違いなしです。

そして本作を鑑賞してからジャニスのライブ映像を見るとなかなか感慨深いものがあります。

その熱とパワーに満ち溢れた歌声の裏には壮絶な人生があったのです。
そしてそんな人生を送ってきた彼女だからこそ、日々に疲れた人々を勇気付けることができたのだと思います。
痛みを知り分かち合う心を思い出し、優しい気持ちにさせてくれる一作です。

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無料視聴できるジャニス・ジョプリンの音楽・ライブ

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画像出典: IMDb “Janis: Little Girl Blue”