今回は、「アメリカ流れ者」で町山智浩さんが2014年10月28日に紹介されていた「インターステラー」について書きました。
愛がテーマにもなっている本作は、ただ最新の科学知識を披露しているだけでなく、人間という生き物の過去から未来にわたる繋がりも描いているSF作品となっています。
目次
『インター・ステラー』の主な出演者とあらすじ
「インターステラー」は2014年公開、クリストファー・ノーラン監督作品です。
主な出演者
マーフィー・クーパー(幼少期:マッケンジー・フォイ)
アメリア・ブランド(アン・ハサウェイ)
ヒュー・マン(マット・デイモン)
あらすじ
異常気象によって雨が降らず、砂埃が舞う近未来の地球が舞台です。
主人公のクーパーは元パイロットでありながら、現在はこうした地球の現状もあり、やむを得ず実家で農業を営んでいました。妻に先立たれ、娘のマーフィー(マーフ)と息子、クーパーの父親と4人で暮らしながら、自分のかつての仕事と現状とを比較し、歯がゆい日々を送っていました。
ある日、自宅で起こる不可解な現象が、実は重力が関連した誰かからのメッセージなのではないかと気が付いたクーパーは、それを解読し、指し示された地図上の場所へマーフと共に向かいます。たどり着いた場所は、とっくに解体されたはずのNASAの研究所でした。
クーパーはそこで、地球を救うための協力を依頼され、宇宙へと旅立つことになります。
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『インターステラー』町山さん解説。フィールド・オブ・ドリームス+2001年宇宙の旅+北の国から!?
町山さんいわく、この映画は過去の映画からかなりインスピレーションを受けて制作されているそうで、オマージュであると同時に、過去のSF作品への挑戦でもあるとのこと。
ストーリーの展開はもちろん、撮影の仕方も昔の映画と同様にすることで、60年代に作られたSF映画の雰囲気が濃厚な作品となっているようです。
その撮り方とは、CGをなるべく使用せずに、実際にシーンを再現して取るというシンプルなもの。セットや模型作製などには当然CGより時間と費用がかかるそうで、リアリティ溢れる映像を追求するノーラン監督らしい努力ですね。
私は、この映画の参考となった過去の作品を拝見したことがないのですが、かなり似ているシーンがあるとのことですので、昔のSFを観たことがある人には懐かしさも感じられる映画となっているかもしれません。
『インターステラー』場所も時空も越える「愛」が科学を凌駕する
ラザロ計画 – 12人の科学者たちが移住できる惑星を探している
クーパー達は、「ラザロ計画」という名のもとに、宇宙へと飛び立ちます。目的は、人類が存続できそうな、第二の地球となる惑星を探すことでした。
すでに12人の科学者たちが宇宙へと先陣を切っており、このうち3名から、移住を期待できそうな惑星を見つけたという信号が送られ続けていました。
初めに選んだ惑星は水に覆われ、一見移住が可能であるかに思えたのですが、突然大波がクーパーたちに迫り避難するしかありませんでした。また、重力の影響で、水の惑星での1時間は地球の7年に相当してしまうというハンデもあり、長時間の調査は不可能でした。
宇宙船の燃料も考慮すると、残る2つの惑星のうち、片方にしか行けない状況となってしまいました。ここでアメリアは、生存信号がすでに途絶えているエドマンズ飛行士の惑星に行くことを主張します。
惑星を選んだ理由は、科学ではなく、愛だった。
クーパーは目敏くアメリアとエドマンズが恋人同士であることを見抜き、私情を挟むなと批判するのですが、その際のアメリアの反論が印象的です。
彼女は、「愛は人間の発明したもの、私たちにも感知できるもの。時空も空間も超えて引き寄せられている、この愛の力を信じたい」と訴えます。
私はこのシーンを観て初めて、愛というものが、科学で解明されようとしているどんな事象よりも未知で、かつ同じように根拠のあるエネルギーなのではないかと心から思いました。
ストーリー全体が最新の科学技術と理論で展開される中で、人間の心のなかにある未解明な「愛」という事象を強力な指標として描き、人々が科学を解明していく原点とは何かを考えさせられる内容となっています。
『インターステラー』のテンポよく展開される科学ネタが高度すぎる
物語はスムーズだけど、登場人物の議論はちんぷんかんぷん(笑)
本作は、宇宙物理学者であるキップ・ソーンを映画の制作者に迎え、最新の科学の理論が事実に忠実に映画の中に盛り込まれています。
特殊相対性理論、特異点、スイングバイ航法、・・・様々な専門的な用語が次から次へと登場し、物語の展開としてはスムーズで観やすかったのですが、登場人物たちが議論を繰り広げ始めるとついていけず・・・(笑)
宇宙理論に詳しい方や、科学好きな方にはもってこいのお話だったかもしれませんが、事前知識がない私には理解が追い付かず、細かい理論はわからないけれど取り合えずAかBの選択のうちAになった、という曖昧な解釈で通り過ぎてしまった場面がいくつかありました。
初回は映画館で観ましたので、一時停止をして巻き戻し、なんてこともできず・・・。
せっかく専門家を迎えて制作された映画ですので、もう少しそれを鑑賞する側が消化しやすい形で盛り込むことができればよかったのかなと思いました。
『インター・ステラー』の科学要素は、鑑賞後に調べてなるほど!
例えば、映画の冒頭ではマーフの部屋の本が勝手に落ちるシーンが何度かあり、これが映画の中では「重力だ!」というクーパーの一言で片付けられてしまっています。
観ているこちらは、重力が強くなったから本が勝手に落ちちゃったの?といった安易な推察(私の理解力の問題でもありますが笑)くらいしかする暇もなく話は進んでしまいます。
実はこの重力というのは、映画の終盤まで大きなテーマとして存在し続けました。
正確には「重力波(簡単に言うと、物体が存在することで発生する時空のゆがみが、物体の運動によって光速で伝わるもの)」という概念が根源にあるという設定だったそうなのですが、観ているだけではそこまで深く理解するのは難しいですね。
鑑賞後に自分で解説を読むといった学習をすることで、より理解を深められる映画となっています。
『インターステラー』の作物の枯れている未来と、現実の地球温暖化と…。
映画の中では雨が降らず、クーパー達が育てる広大なトウモロコシ畑もそろそろ寿命が近いか・・・と思われるほど、次々と作物が枯れていってしまうのですが、こうした異常気象はすでに現実の世界でも起こっていることです。
長い雨が続く夏、いつもより暖かい冬、少しずつ進む異常気象は、気が付かないうちに私たちの日常となっています。
一時期、世界的にも大きく注目されていた地球温暖化ですが、今は経済優先の各国の政策(日本も十分に二酸化炭素の排出量は多いです)によって、その対策は停滞してしまっています。
インターステラーでの世界のように、人間が住める別の惑星を探しに行く日も、そう遠くはないのかもしれませんが、新しい星を探す前に、まずは今すんでいるこの地球を守るために、住民としてできることをやらなければならないと、この映画を通して痛感しました。
『インターステラー』は環境問題にも興味を持てるエンターテインメント作品
クーパーのように、子供を助けたい、子供たちが生きる未来を助けたいと、本気で自分のことに置き換えて人々が活動しない限りは、インターステラーの世界は近い将来現実になるといっても過言ではないかもしれませんね。
そうした環境問題にも興味を持てるような、テーマが満載のSF映画となっておりますので、ぜひ観てみてください。
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画像出典:IMDb “Interstellar”
HAYA
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