ホラー映画『イット・フォローズ』感想。セックスで「それ」はうつる。逃れるにはやはり・・・。

今回は、映画評論家の町山智浩さんが、TBSラジオ「たまむすび」のコーナーで2016年に紹介していた映画「イット・フォローズ」を紹介します。

イット・フォローズの意味は、日本語では〈「それ」がついてくる〉という意味ですが、「それ」とは何なのか、映画を観た皆さんには何に見えるでしょうか…。

観る人によって映画が発信するメッセージが多様に変化するホラー映画です。

 

『イット・フォローズ』あらすじ・出演者情報

あらすじ

大学生のジェイには、ステキな恋人・ヒューがいました。彼らはデートを重ね、ある夜、車の中でセックスを楽しみました。

その後、突然ヒューの態度が一変し、ジェイを椅子に縛り付けます。そして、ジェイに、セックスを通してあるものを感染させたというのです。

感染した者にしか見えない「それ」とは何なのか…ジェイはやむを得ず「それ」から逃げる日々と向き合うことになってしまいました。

出演者

〈監督〉
デヴィッド・ロバート・ミッチェル
〈キャスト〉
ジェイ:マイカ・モンロー
ポール:キーア・ギルクリスト
グレッグ:ダニエル・ゾヴァット

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『イット・フォローズ』町山さん解説。タランティーノ絶賛。監督が語る、ホラーなのに愛の物語!?

町山さんによると、映画「キル・ビル」などで有名なクエンティン・タランティーノ監督が、イット・フォローズを高評価したそうです。

と、同時に、「この映画は女性嫌悪によって作られた映画なんだ」と、彼の主観によって映画のテーマを決めつけてしまったため、映画を観た人々の間で様々な憶測が飛び交いました。

止むを得ずデヴィッド・ロバート・ミッチェル監督は、この映画の意味するところを、インタビューで話すまでに追い込まれてしまったそうです。

そこで話したのが「イット・フォローズは生と死と愛についての物語」であるというものでした。

ホラーで描いているために見えづらくはなっていますが、イット・フォローズで描いている「それ」は、私たちが生きる上で決して避けては通れないものを模していると、町山さんも語っています。

映画で出てくる「それ」は恐ろしい存在ですが、「それ」を心の傷や不安、死など別のものに置き換えてみると、見える物語が違ってきます。

怖いけれど我慢して最後まで観ると、あたたかい気持ちになれる、不思議な作品です。

以下ネタバレを含みますのでご注意ください。

『イット・フォローズ』「それ」をうつされた!しかもセックスを介して…

ジェイは、ヒューとのセックスのあと、突然薬品を嗅がされ眠ってしまいます。目を覚ますと椅子に手首を縛り付けられた状態で座らされていました。

ヒューは落ち着きのない様子で「それ」について説明を始めます。

「それ」は逃げても追いかけてくる、でもゆっくりなので、逃げ続ければ問題はない…唯一の脱却方法は、セックスをして他の人間にうつすことだというのです。

一瞬、性感染症の話でもされてるのかしら、なんて思ってしまいますよね。

一体なんのことを言われているのか訳がわからないジェイでしたが、もうすぐ来る…というヒューの言葉と目線の先に、「それ」は居ました。それから、ジェイはどこにいても「それ」に追われることになります。

「それ」は人の形をして追ってくる

「それ」は、基本的には人間と思われる姿をしています。

ある時は全裸の女性、またある時は老婆の姿に変わり、ジェイの前に姿を見せるようになりました。

そしてゆっくりと、しかし確実に近づいてくるのです。人の中に紛れていますが、家にいても学校にいても遠くに移動しても、必ず付いてきます。

その姿を見つけてしまった時は本当に恐怖ですが、気がつくことができないとそのまま追いつかれてしまいますからね…。

その方が怖いです。

まあ、たまに屋根の上に全裸で「それ」が立っている時もありましたので、そういった時には一目瞭然です。

もちろん、「それ」に感染していない人には見えません。

「それ」をどうするべきか?

セックスでこんな呪いがうつされてしまうなんて…たまったもんじゃないですね。

このあと、ジェイは単に逃げ続けるのか、それとも人に感染させるための行動をとるのか、あるいは「それ」と対峙しようとするのか、結末は映画でご覧ください。

もし私ならどうするだろうと考えた時に、まずはどうにかして他人に、しかも広範囲に渡って何とかうつそうと考えている、ずるい自分がいました。(笑)

『イット・フォローズ』映像の切り取り方が怖い…

ジェイは、失踪したヒューを友人たちと共に捜し始めます・・・。

ヒューが通っていると思われる学校で聞き取り調査をするシーンがあるのですが、もうそれはそれは怖いシーンです・・・。

一箇所、カメラマンが立っている場所を支点に、周囲をぐるぐると撮り続けているシーンなのですが、その映像の余白はとてもじゃないけれど真剣に観ていられません・・・。

何かが映る気がするのです・・・。

けれど急に何かが登場するわけでもない、そもそも、とどまっている映像ではないので何を撮っているのか見えてこない、でも頭の中で既に「あること」を覚悟している自分がいます。

そう、「それ」がどこかにいるはずだと・・・。

低予算映画という裏事情

この映画は、途中から「それ」の存在が前提となりますので、どのシーンを撮影していても、観ている側は「それ」を捜してしまうのです。

かなり低予算で作られたというこの映画ですが、こうした手法は上手だと思いました。

何も映さなくても、観る側が勝手に怖がってくれるなんて…まんまと制作側に踊らされました。(笑)

『イット・フォローズ』「それ」がセックスによって感染するのはなぜ!?

人にうつすことで自分が助かることができるホラー映画は、過去にもたくさんありましたね。

リング」シリーズでは呪いのビデオを観ると、貞子の呪いが移ってしまう設定でした。

着信アリ」シリーズでは、死の予告電話がかかってくると必ず死ぬというストーリーでしたが、最終的に着信を転送すれば自分は助かる、という設定なども生まれたようです。

時代と共に感染の媒体が変化し、最終的にはセックスで感染するようになるとは、大胆ですよね。

「それ」は見え続ける

これらの映画は、単純に死んだ人々の怨念が死を招くというホラーでしたが、イットフォローズには「それ」が感染していない人にはみえず、また一度見えるようになると、たとえ人にうつしても存在は見え続けるという特徴があります。

うつすことで、一時的には「それ」は自分を追わなくなったように見えますが、うつした相手が「それ」によって死んでしまうと、また自分を追いかけてきます。

どこまでうつしたとしても、決して追いかけられる恐怖から完全に逃れることはできません。

「生と死と愛についての物語」の真意とは?

デヴィッド・ロバート・ミッチェル監督が映画のテーマとして語っていた、生と死と愛についての物語というのはつまり、「それ」の感染=命を繋いでいく、という意味ではないでしょうか。

セックスによって生命が作られますが、生を受けた瞬間から、どの命も等しく死が待っています。

自分の子供に命を繋いでも、自分の死から逃れることはできません。

いつか必ず訪れる「死」とどう向き合って生きるのか、ということを、映画の1番のテーマとして掲げているように感じました。

『イット・フォローズ』は感動が待ってるホラー映画。

なんだかんだ言っても、やはりこの映画はホラー映画です。

さまざまなテーマを感じながら観るのもおすすめですが、ホラーのドキドキを素直に楽しむこともできる作品です!受け取り方次第では、イヤミスではなく、終わった後に感動が待っています。ぜひ一度ご覧になってください。

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画像出典:IMDb “It Follows”

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