『イミテーション・ゲーム』ネタバレ感想。カンバーバッチの演技が凄い!役作り裏話。

こんにちは!今回は2014年12月15日放送TBSラジオたまむすびで町山智浩さんが紹介していた「イミテーション・ゲーム エニグマと天才数学者の秘密」の感想を書いていきます。

コンピューターの基礎を築いたアラン・チューリングの史実に基づいた物語です。

 

『イミテーション・ゲーム』のあらすじ

2014年公開の「イミテーション・ゲーム」。脚本はグレアム・ムーア、監督はモルテン・ティルドゥムです。

登場人物

アラン・チューリング -ベネディクト・カンバーバッチ
ジョーン・クラーク -キーラ・ナイトレイ
ヒュー・アレグザンダー -マシュー・グッド
ロバート・ノック刑事 -ロリー・キニア
ジョン・ケアンクロス -アレン・リーチ
クリストファー・モーコム -ジャック・バノン

あらすじ

1951年、田舎の数学教師アラン・チューリングは空き巣被害に遭う。そこでノック刑事が捜査をすることになるが、チューリングは何かを隠すようにして捜査を遠ざけようとする。不審に思ったノック刑事がチューリングの過去を調べると、なんとチューリングの過去の記録が「国家機密」であることが判明するのであった。

そんな中チューリングはある容疑で逮捕され、その取り調べをノック刑事がすることになる。ノック刑事の「あなたは一体何をしたんですか」という質問にチューリングはブレッチリー・パークでの出来事を語るのだった…

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町山智浩さんは語る。『イミテーション・ゲーム』の意味はひとつではない。

この映画には複雑な伏線が散りばめられています。

タイトルにもなった「イミテーション・ゲーム」。これはアラン・チューリングが考案した人工知能と人間を判別するためのテストです。

しかし町山智浩さんは「そのままの意味の他にも様々な意味合いが含まれている」と考察していました。筆者も町山智浩さんと同意見です。

物語ラストに明かされる隠されたその「意味合い」とは一体何なのか。そのことを意識して観てみるとよりこの映画を楽しめるでしょう。

『イミテーション・ゲーム』主演ベネディクト・カンバーバッチの演技が凄い!

主演はイギリスの俳優ベネディクト・カンバーバッチです。

カンバーバッチはこの映画の脚本を読んだ時すぐさま脚本に恋に落ち、「この物語を伝えなくてはいけない」と思ったそうです。

チューリングは戦争の悲劇の英雄であり、現在のコンピューターの基礎を築いた偉大な人物。

ですがカンバーバッチはそれだけでなく、彼の内面を理解するためにチューリングの姪や元同僚に話を聞いたそうです。

チューリングについての記録は「天才で変人だった」というもの多いですが、実際は誰に対しても対等で、礼儀正しく、面白い人物だったと言われています。

チューリングの不器用な優しさを表現したカンバーバッチの演技は圧巻です。カンバーバッチの魂のこもった演技にさらに映画に引き込まれるでしょう。

『イミテーション・ゲーム』不器用なチューリングが仲間とコミュニケーションを取る姿に注目!

天才はいつの時代も周囲から浮いた存在です。

むしろ周囲から浮いた存在でないと天才にはなれないのかもしれません。同じようにチューリングもコミュニケーションを取るのが苦手で周囲から浮いた存在でした。

しかし仲間の一人であるジョーンの「本気でパズル(エニグマ)を解くにはみんなの協力が必要よ」という言葉を聞き、仲間とコミュニケーションを取ろうと努力し始めるのです。

リンゴを配ってみたり、普段は言わないジョークを言ってみたり。不器用ながらに仲間とコミュニケーションを取ろうとする姿にほっこりさせられるでしょう。

重大なネタバレをしますので、見てない方はご注意!

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【ネタバレ!】『イミテーション・ゲーム』アラン・チューリングの抱える秘密とは?

この映画のキーポイントになっているチューリングの抱える秘密。

それはチューリングが同性愛者であるということです。この時代では同性愛は犯罪。チューリングが今までコミュニケーションを積極的に取ろうとしなかったのもこの秘密を必死に隠そうとしていたからなのかもしれません。

チューリングはエニグマを解読するコンピューターに亡き友人「クリストファー」の名前を付けます。クリストファーはチューリングの唯一の理解者であり、とても大切な人でした。

一部ではチューリングはこのコンピューターを作ることでクリストファーの魂を蘇らせようとしていたと言われています。

「解読不能」と言われたエニグマと周囲から理解されなかったチューリング自身を重ねたのかもしれません。「エニグマ(チューリング)」を理解して欲しい、そんな気持ちが込められていたのではないでしょうか。

アラン・チューリングの『イミテーション・ゲーム』の結末とは

イミテーション・ゲームとはチューリングが考案した人工知能と人間を判別するためのテストです。

方法はまず「判定者」を用意し、人間と人工知能を壁を隔てたところに置きます。次に人間と人工知能に同じ質問をします。そしてその回答が人間か人工知能か判別がつかなければその人口知能は人間に近い、というものです。

取調室でチューリングはノック刑事にこのテストを持ちかけました。ブレッチリー・パークでの出来事を語り、「私はマシンか、人間か、戦争の英雄か、犯罪者か」とノック刑事に質問したのです。しかしノック刑事の判定は「わからない」というものでした。

このときのチューリングの寂しそうにうつむく姿がとても切ないです。ちなみにチューリングは自殺でこの世を去っていて映画最後のモノローグでそのことが記されています。

現在はチューリングの功績が認められていますが「もし彼が生きているときに功績が認められていたら…」と思うととてもやりきれません。

『イミテーション・ゲーム』はこんな人におすすめ

「戦争」「セクシャルマイノリティ」「性差別」「天才の孤独」と様々な意味合いの含まれた重厚な伝記映画です。

実話を元にした映画ですが、多くを語りすぎていないのが魅力。また伏線がたくさん散りばめられた映画なので、チューリングのことを知ってから観るとよりこの映画の奥深さを楽しめるでしょう。

「重厚な伝記映画を観たい」「ベネディクト・カンバーバッチが好き」という人におすすめの映画です。

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松田さとし

松田さとし

都内在住兼業ライター。好きなものは映画と本と漫画とビール。行ってみたい場所はウユニ塩湖とイギリス。いつか誰かの心に残るような文章を書くことを目標に日々勉強中。