『ビッグ・アイズ』ネタバレ感想。実話を基にした絵の秘密。才能について考えさせられる。

今回は、映画評論家の町山智浩さんがラジオ『たまむすび』で紹介していた映画「ビッグ・アイズ」をご紹介します。

大きな目の少女の絵「ビッグ・アイズ」の秘密に迫る物語です。

実話を元にした映画だそうで、作者のマーガレットさんご本人は今も91歳という年齢で、ご健在のようです。

監督のティム・バートンも彼女の絵のファンとのことです。

 

『ビッグ・アイズ』あらすじ・出演者情報

1950年代、女性は男性と結婚し、家庭を守っていくのが良しとされていた時代。マーガレットは夫の支配に耐えかねて、娘を連れてサンフランシスコへと逃げていきます。

仕事の経験もない彼女は、唯一の特技とも言える絵を描くことでお金を稼ごうとしますが、なかなか売れません。そんな時、近くで同じように絵を売っていたウォルターと出会い、彼と再婚することになります。

ある日彼が、マーガレットの絵が売れたと大金を持って帰ってくるのですが、実はマーガレットの作品を、自分が描いたと嘘をついて商売を始めていたのでした。

<監督>
ティム・バートン

<キャスト>
マーガレット・キーン:エイミー・アダムス
ウォルター・キーン:クリストフ・ヴァルツ
ディーアン:クリステン・リッター(マーガレットの親友)

絵の作者マーガレット役には最近映画『バイス』でも話題になったエイミー・アダムス。ヒロインを演じた『メッセージ』のレビューもしています。

マーガレットの親友役として、ドラマ『ブレイキング・バッド』でジェシーの恋人役を演じたクリステン・リッターも出演しています。キュートでしたね。

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『ビッグ・アイズ』町山さん解説。ご健在のマーガレットさんにお会いしたそうです。

エイミー・アダムスとマーガレットさんご本人

どうやら町山さんがラジオでこの映画を紹介する少し前に、実在のマーガレットさんご本人とお会いしてきたそうです。

現在サンフランシスコに彼女の画廊があるそうですが、サンフランシスコは、映画の中でもマーガレットが最初の夫から逃げてたどり着いた場所でした。

1960年代ごろ、サンフランシスコは取り分け自由な風潮があったようで、彼女のような立場の人も住みやすかったのかもしれませんね。

ご自身が描いた絵について町山さんに教えてくれたそうですが、彼女は途中まで、夫ウォルターのゴーストライターとして絵を描いていましたから、それはそれは孤独な日々だったようです。

そのマーガレットさんの寂しいという叫びが込められているため、絵の中の子供たちの表情はいつもどこか陰のある雰囲気として描かれてているとのことでした。

以下ネタバレを含みますのでご注意ください!

『ビッグ・アイズ』必見!天下分け目の、作者は誰かと問われたシーン

マーガレットの絵が売れ始めた時、とあるイタリア人のセレブが彼女の絵に興味を示します。

誰が描いたのかと夫婦は問われるのですが、ちょうど直前に、ウォルターが絵の作者に関して嘘をついていたことを、マーガレットが咎めていたタイミングでした。

ウォルターから、女の絵は売れないと言われたことがマーガレットの口を重たくし、2人は一瞬固まったあと、コンマ何秒の差でウォルターが先に「僕が描きました」と名乗り出てしまいます。

もう少し待てば、マーガレットは自ら名乗り出ることはできたのでしょうか。

しかしもうすでに絵は売れ始めてしまっており、夫婦には少しずつお金も入っていました。

ここが、絵に関しての嘘を訂正して、引き返す最大のポイントであったと思われます。

『ビッグ・アイズ』ウォルターの、世間への欺き以外に、マーガレットに対してついた最大の嘘とは

途中、ウォルターの前妻の子供が突然登場します。

それは、懇意にしている記者からの取材中に起こる出来事ですが、もちろんマーガレットは、そんな存在がいたとは知りませんでした。

記者は特ダネとばかりにペンを走らせます。

ここでもウォルターの商才は発揮され、多少のゴシップを混ぜることでより絵に対する世間の関心を集めたかったのでしょう。

しかし、ウォルターが隠していた秘密は、それだけではありませんでした。

私は、なんとなく映画の冒頭から怪しんでいたことではありましたが…。

その嘘が、マーガレットに本当のことを言う決心をさせていきます。

ここはぜひ映画を見て確かめてください!

『ビッグ・アイズ』に違和感も。ウォルターがいなければ日の目を浴びることはなかったのでは?

マーガレットさんご本人いわく、当時はウォルターに洗脳されていて、自分が本当の作者だとは言えない状態だったとか。

でも、そんな話を聞いても、ちょっとウォルターが可哀想だと思ってしまっている自分もいました。

確かにマーガレットはウォルターを愛していた時もあったはずだし、ウォルターに救われたことがたくさんあったはずなのに、それをすっ飛ばしてウォルターだけを悪者にしすぎている気もしました。あなたもお金、もらいましたよね…?

どんなに素晴らしい作品でも、誰かの目に留まらなければ世の中に知れ渡ることはないでしょう。

どんなに歌がうまくても、どんなに美しくても、みんなが歌手やモデルになるわけではありません。その人の自分を売りこむ才能も全て含めて、作品の一部であると、芸術をよく知らない私には思えてしまいました。

その証拠に、映画の中でマーガレットが自ら絵を売っているときには、彼女の絵は全くと言っていいほど売れていません。

ウォルターが嘘をついて、自分は1枚も絵を描かずにマーガレットを働かせていたのは事実ではあります。

しかしウォルターがいなければ、マーガレットの絵は趣味のお絵かきで終わっていた可能性も十分にあったと感じました。

映画の冒頭で、批評家か芸術家かどなたか名誉ある方のコメントが登場します。

『私はキーンの作品を支持します。多くの人に愛されるということは、素晴らしい作品であるということです』といった内容です。

絵が売れたのは元はと言えばウォルターの売り込みがあったおかげですから、本来の絵が売れた経緯とは異なる点を賞賛したこのコメントに、少し皮肉の意を感じずにはいられませんでした。

まあ、ティム・バートン監督はマーガレットの絵のファンだそうですから、純粋にマーガレットだけでも売れたはずだと言うことを、強調したかっただけかもしれませんが…。

『ビッグ・アイズ』の残念な点。マーガレットさん本来の情熱が、映画では霞んでしまっていた…

最初の夫から逃げてきた時も、そしてウォルターと決別するときも、マーガレットは娘と手を取り合って逃げるという決断をしますが、時代が時代だけに、行動だけを見ると、マーガレットさん、強かな女性だなあと感じました。

ウォルターと離婚後、現実世界で彼女はなんと3回目の結婚をしたというではないですか。

ただ、作中ではウォルターの言いなりで、ウォルターと絵の権利を争う裁判でも、あまりその胸の内は見えてきませんでした。

町山さんの解説では、かなり情熱的で熱い思いを持った方という印象を受けました。

もっと絵に対する愛を、どんな気持ちで絵を描いていたのかをマーガレットから感じ取ることができれば、もう少し映画も劇的な展開を演出することができたかもしれません。

『ビッグ・アイズ』女性の社会進出もテーマにしつつ、本当の自分と向き合いたい全ての人を応援してくれる映画

今では女性も、社会において活躍することが当たり前の時代になってきていますが、まだまだ男女の序列は十分平らになっていないところがあります。

この映画を観れば、女性も男性も関係ない、もっと自分のやりたいように生きていいんだ、という大きな勇気を、マーガレットからもらうことができるでしょう。

そして1人の人間として、なかなか自信が持てないけれども、これで勝負をしたいんだ、という分野が誰しもあるかもしれません。

才能があるかないかというのは、正直時代によっても層が決まってしまいますし、ウォルターのように売り込みがうまくなければ通用しない世界もあるかもしれません。

でもだからこそ、努力する価値があるのかもしれないと、改めて考えさせられた作品でした。ぜひみなさんもご覧になってください!

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画像出典:IMDb “Big Eyes”

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