『博士と彼女のセオリー』の感想。時間の残酷さと美しさ、愛について考えてみる。

今回は2014年11月24日放送のTBSラジオ「たまむすび」で町山智浩さんに紹介されていた「博士と彼女のセオリー」についての感想を書いていきます。

若き日のスティーブン・ホーキング博士を描いた映画です。

 

「博士と彼女のセオリー」のあらすじ

「博士と彼女のセオリー」は2014年公開のジェームズ・マーシュの監督作品です。

主な登場人物

  • スティーブン・ホーキング ーエディ・レッドメイン
  • ジェーン・ワイルド・ホーキング ーフェリシティ・ジョーンズ
  • エレイン・マッソン ーマクシーン・ピーク
  • ジョナサン・ジョーンズ ーチャーリー・コックス

あらすじ

物語の始まりは1960年代。ケンブリッジ大学で物理学を学んでいた天才スティーブン・ホーキングは文学部のジェーン・ワイルドと互いに惹かれあい、恋に落ちる。

だがそんな矢先にスティーブンはALS(筋萎縮性側索硬化症)を発症し「2年」の余命宣告を受ける。次第に動かなくなる体と突然の余命宣告に絶望し、スティーブンは自宅に引きこもり「迷惑をかけてしまう」とジェーンにも別れを告げる。だがジェーンはそれでもスティーブンのそばにいることを決意する。

二人は晴れて結婚し子供を設けるが、その先には厳しい現実が待ち受けていた…

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「博士と彼女のセオリー」のネタばれ感想

ここからネタバレあり!まだ観ていない人はご注意を!

ホーキング博士役・主演エディ・レッドメインの演技力に痺れた!

まず主演のエディ・レッドメインの魂のこもった演技が素晴らしいです。時々彼がホーキング博士本人に見えるほどでした。

エディはホーキング博士を演じるにあたって半年に渡り実際にALS患者の方の話を聞き、研究したそうです。

その演技は当時まだ存命だったホーキング博士が「まるで自分自身を見ているようだ」と称賛するほど。

彼の徹底的な役作りとホーキング博士へのリスペクトの心があったからこそこの作品は成り立ったのです。

美しい映像に引き込まれる!

映像はドキュメンタリー風に撮影されていて、どのシーンもまるで絵画を切り取ったかのような美しさです。

しかし美しい映像で描かれるスティーブンとジェーンに待ち受けるのは厳しい現実。きっと二人の「形」は変化しても変わらぬお互いへの愛の「深さ」に胸を打たれるでしょう。

個人的に印象に残ったシーン:彼の「もし、体が動かせたら…」

この映画を観た人に好きなシーンを聞くと多くの人が物語最後、映像を巻き戻して過去を振り返るシーンを挙げるかと思います。

確かに感動しますし、筆者もこのシーンが大好きです。

ですが個人的に印象に残ったのは、スティーブンが受賞式で記者からの質問を受けるシーンです。

質問の途中、記者の1人がペンを落としたことにスティーブンは気づきます。しかし自由に体の動かすことのできない彼は何もすることが出来ません。

もし、体が動かせたら…」と彼は想像するのです。

このときのスティーブンの悲しそうな表情と、諦めたように笑う姿が筆者はとても印象に残っています。

彼は誰よりも時間の残酷さと美しさを知っている人。それでも現実を受け止めて「時間」について前向きに語る姿にとても勇気をもらいました。

「博士と彼女のセオリー」はこんな人におすすめ

美しい映画です。

映像や音楽はもちろん、登場人物に悪い人がいません。実際はそうではなかったかもしれませんが、重い内容の映画でも鑑賞後感がとてもいいです。観終わったあときっと周りの人に優しい気持ちになれます。

またこの映画は「時間」や「選択」がキーワードでもあるので、何かに迷っている人や自分を見つめ直したい人にもぴったりの映画です。

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画像出典:IMDb “Hakase to Kanojo no Theory (2014)”

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松田さとし

松田さとし

都内在住兼業ライター。好きなものは映画と本と漫画とビール。行ってみたい場所はウユニ塩湖とイギリス。いつか誰かの心に残るような文章を書くことを目標に日々勉強中。